紅茶を含む全てのお茶の発祥地である中国は、烏龍茶や緑茶、プーアール茶など多種多様なお茶が生産されています。
お茶の生産量は世界一ですが、そのほとんどが緑茶なので紅茶のシェアは緑茶に比べると多くありません。また、紅茶は国内消費量も少ないため大半が輸出用です。
ちなみに中国のお茶は発酵度によって以下の6つに区分されています。
- 緑茶(不発酵茶)
- 白茶(弱発酵茶)
- 黄茶(弱後発酵茶)
- 青茶(半発酵茶)
- 紅茶(発酵茶)
- 黒茶(後発酵茶)
世界中で飲まれている紅茶の元祖とされる中国の紅茶。現地で「紅茶(ホンチャ)」と呼ばれ、一説では中国から最初にヨーロッパに伝わった不発酵の緑茶をイギリス人好みのお茶にするべく発酵を進め、最終的に完全発酵させた結果「紅茶(ホンチャ)」が誕生したと言われています。
現在中国の代表的な紅茶の産地は大きく3つのエリアに分かれ、安徽(あんき)省 で「キームン(祁門/キーマン/キーモン )」 、福建省で「ラプサンスーチョン(正山小種)」、雲南省で「雲南紅茶」などの紅茶が生産され、それぞれ違った特徴をもちます。
中でも安徽(あんき)省で生産される「キームン(祁門/キーマン/キーモン )」は世界三大紅茶の一つとして特にイギリスで珍重されてきました。
中国の紅茶はスモーキーフレーバーと甘みのある味わい、独特の香味が特徴的で、茶の木は
・安徽(あんき)省・福建省など:タンニン少なめで渋みが弱く香りが強い小葉種(中国種)
・雲南などの西南〜華南:タンニン多めで渋みが強い大葉種(アッサム種)
に区別されます。
中国の紅茶<歴史>
最初に中国茶(緑茶)がヨーロッパに伝わったのは17世紀初頭とされ、18世紀〜19世紀にかけて福建省の武夷山で生産された烏龍茶がイギリス人に珍重されました。
そして1785年頃、「キームン(祁門/キーマン/キーモン )」 に代表される「工夫(コングー)紅茶」(伝統的で手間のかかる手法で作られる発酵度の高いリーフタイプの紅茶)が製造されるようになり、ヨーロッパで飲まれるようになりました。
しかし、19世紀後半からはイギリスの植民地となり紅茶の生産力を上げたインドやセイロン(スリランカ)に押され、中国の紅茶生産は衰退していきました。そのため生産量は多くないものの、今でも国際的に高く評価されています。