世界三大紅茶の一つとして知られる「ウヴァ」をはじめ、有名な産地を有するスリランカ。
スリランカの紅茶は「セイロンティー」とも呼ばれ、水色と香味のバランスが良いとされています。
「セイロン」は1948年にイギリスから自治領として独立した際の国名で、その後1972年に現在の「スリランカ」になりました。
明治時代に日本で初めて輸入した紅茶がこのセイロンティーで、現在日本が最も紅茶を輸入している国でもあります。
生産量はインド、ケニア、中国に次ぐ世界第4位ですが、1年に約30万トンもの茶葉が生産され、その大半が輸出されます。(輸出量はケニアに次ぐ世界第2位)
また、スリランカでは島の中央から南部にかけて連なるスリランカ中央山脈(山岳地帯)を中心に一年を通して紅茶が収穫され、そのほとんどがオーソドックス製法で生産されています。
セイロンティーはかつてスリランカ紅茶五大産地(セイロン・ファイブ・カインズ)として
- ヌワラエリア
- ウバ
- ディンブラ
- キャンディ
- ルフナ
が指定されていましたが、現在はここに「サバラガムワ」と「ウダプセラワ」が加えられ、七大紅茶産地(セイロン・セブン・カインズ)に変更されています。
スリランカの紅茶<歴史>
スリランカの紅茶産業が始まったのは1860年代。
それまではコーヒーの生産が盛んでしたが「サビ病」によってコーヒーの木が枯れ農園が壊滅的な状態になったため、農園主たちはコーヒーから茶栽培への転換を図りました。
そしてスリランカで初めてアッサム種の栽培に成功したのは、1852年にスリランカに渡りコーヒー農園で働いていたスコットランド人のジェームズ・テイラー。
1867年、植物の栽培手腕を評価されアッサム種の苗木と種を渡された当時32才のテイラーは、キャンディに最初の農園となるルーラコンデラ茶園を開墾して茶の栽培を開始。
するとインドでは茶栽培の成功に15年以上かかったにもかかわらず、テイラーはたった1〜2年で栽培を成功させました。
その後スリランカの紅茶産業の基盤を築きあげ、57才でその生涯を閉じるまでセイロン紅茶の生産に尽力した彼は「セイロン紅茶の父」「セイロン紅茶の神様」とも呼ばれています。
スリランカの紅茶<生産地>
スリランカは島の中央に向かって標高が高くなっていく独特の地形をしているため、茶園の場所も低地から高地まで様々で、標高によって茶葉のテイストが異なります。
そのためスリランカの紅茶は、産地の標高によって以下の3つに区分されます。
標高1200m以上 | ハイグロウンティー(高地産) |
標高600〜1200m | ミディアムグロウンティー(中地産) |
標高600m以下 | ローグロウンティー(低地産) |
標高が高くなるにつれ中国種系の茶の木が多く、逆に低い産地ではアッサム種系の茶の木が多く栽培されています。
ハイグロウンティー(高地産)
昼夜の寒暖の差が激しいため香り高い紅茶が算出されます。また、爽やかで締まった渋みとデリケートな味わいをもち、セイロン紅茶の中で最も高級品とされます。水色は明るめ。
ミディアムグロウンティー(中地産)
渋みが少なくマイルドで穏やかな味わいが特徴。
ローグロウンティー(低地産)
香り、渋みは弱めですがコクがありまろやかな香味が特徴。3つの中で一番生産量が多く(国内生産量の50%以上)中東で人気です。