国土の中央から北一帯に「世界の屋根」と呼ばれる世界最高峰のエベレストを含むヒマラヤ山脈が広がっているネパール。
ネパールでは紅茶の他、緑茶やウーロンなどの半発酵茶、白茶(シルバーチップ)なども作られ、アメリカやヨーロッパ、インドなどに輸出されています。
紅茶生産地は主に東部のヒマラヤ山麓に集中しており、イラム地方とその隣のダンクタ地方が2大産地。ここで生産される紅茶は「ヒマラヤン」とも呼ばれています。
これらの地域は同じくヒマラヤ山麓にあるインドのダージリン地方に隣接しているため、気候風土がほとんどダージリンと同様で紅茶の質もよく似ています。また、ダージリンと同じ年3回のクオリティーシーズン(ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュ、オータムナル)があり、それぞれの味わいの違いを楽しむことができます。
そして現在、ネパールの茶園のほとんどが無農薬に近い有機栽培が主流。特にネパールで有名な三つの茶園「グランセ茶園」「シャングリラ茶園(製茶会社)」「ジュンチャバリ茶園」で生産される紅茶は中でも上質と言われ、全ての茶園が有機認証を受けています。
こういった安心安全のオーガニック自然農法・ダージリンに匹敵する高い品質・一芯二葉の手摘みとハンドロール(手もみ)での丁寧な紅茶作りからなる、素朴でやさしい味わいのネパール紅茶は評判を呼び、現在日本でもじわじわと人気が出てきています。
ただ、まだまだその認知度・ブランド力はダージリンに比べて弱いため、比較的安く購入することが可能です。
ネパールの紅茶<歴史>
ネパール紅茶の歴史は、ダージリンに初めて茶の木が植えられてから約8年後の1864年頃、イギリス東インド会社の支援によりダージリンから持ち込まれた茶の木がネパール東部のイラム地方で植えられたのが始まりとされています。
その後本格的に紅茶の生産が始まったのは20世紀以降。
1959年にネパール南部のタライ平原で栽培が開始され、1966年にネパール茶開発会社が発足、1978年に東部のイラムに製茶工場が完成したのを皮切りにその周辺でも茶栽培が広がっていき、1990年までには各産地に工場が併設されるようになりました。